二柱のクロノス

クロノスはクロノスでも、
頭文字がΚ(カッパ)だと農耕の神、
頭文字がΧ(カイ)だと時間の神。
まぎらわしい。


なんで[k]の文字が二つもあるのかと思ったら、
古代ギリシャ語では、Κは無気音、Χは有気音らしい。
中国語のピンインでいうと、gとkか?
古代ギリシャ語にはΓ(ガンマ)もあるから、
軟口蓋破裂音が、有声音(Γ)、無声無気音(Κ)、無声有気音(Χ)の
3種類もあるのか。
日本語や英語では有声/無声の区別しかしないし、
中国語や韓国語では無気/有気の区別しかしないのに。


有声音、無声無気音、無声有気音といえば、
歯茎破裂音のΔ、Τ、Θや、
両唇破裂音のΒ、Π、Φもそうか。
古代ギリシャ語は体系的に破裂音がそろってるなあ。
現代ギリシャ語ではだいぶ変わってしまったけど。


Β(ベータ)なんか現代ギリシャ語では[v]音になってる。
まあ、日本人は[b]と[v]の区別ができないけど、
[b]と[v]ってやっぱり似た音なのかもしれない。
スペイン語では綴りが"b"でも"v"でも発音は同じ[b]音だし。
サンスクリット語の"ニルヴァーナ"は、パーリ語では"ニッバーナ"だし。


などと、何の役にも立たないことをあれこれ考えてる間にも、
クロノスは、とめどなく過ぎ行く。