ヴィンランド・サガ

幸村誠ヴィンランド・サガ』ひさしぶりに読み返したが、おもしれー。自分がいちばん共感をおぼえるのはクヌートだけど、特にクヌートが悟りを開くところは圧巻と言っていい。悟りを開く前の萌えキャラのクヌートたんも好きだけど。C.D.A.のハニャーン様とか、Fateシリーズのウェイバーたんとかもそうだけど、萌えキャラが大人になる話って、なにか琴線に触れるものがある。

「彼は死んでどんな生者よりも美しくなった。愛そのものといっていい。彼はもはや憎むことも殺すことも奪うこともしません。すばらしいと思いませんか? 彼はこのままここに打ち捨てられ、その肉を獣や虫に惜しみなく与えるでしょう。風にはさらされるまま、雨には打たれるまま、それで一言半句の文句も言いません。死は人間を完成させるのです」
「愛の本質が死だと言うのか。ならば親が子を、夫婦が互いを、ラグナルが私を大切に思う気持ちは、いったい何だ?」
差別です。王にへつらい奴隷に鞭打つこととたいしてかわりません。ラグナル殿にとって王子殿下は他の誰よりも大切な人だったのです。おそらく彼自身の命よりも。彼はあなた一人の安全のために62人の村人を見殺しにした。差別です」
「そうか、わかってきた。まるで霧が晴れていくようだ。この雪が、愛なのだな」
「そうです」
「あの空が、あの太陽が、吹きゆく風が、木々が、山々が。なのに、なんということだ。世界が、神の御技がこんなにも美しいというのに、人間の心には愛がないのか」

禅だなぁ〜。
禅といえば、もうひとつ。

「カラッポなら何でも入るじゃろう。生まれかわるつもりがあるならむしろカラッポのほうがエエ」
「生まれかわれるでしょうか?」
働け。手が休んどるぞ