日圧(JST)の圧着コネクタいろいろ

日本圧着端子(JST)の基板対電線用圧着コネクタのうちよく使うものを以下にまとめる。JSTのコネクタはやたらと種類が多くてメーカーのサイトを見てもよく分からないが、入手しやすく現場でよく使われるものをチョイスしたつもりである。(※わりと独断と偏見が混ざってます)

サイズの大きいものから順に挙げる。

シリーズ ピッチ 定格電流 定格電圧 適用電線
VH 3.96mm 10A 250V AWG#22~#16
NH 2.5mm 3A 250V AWG#30~#22
XH 2.5mm 3A 250V AWG#30~#22
EH 2.5mm 3A 250V AWG#32~#22
PH 2.0mm 2A 100V AWG#32~#24
ZH 1.5mm 1A 50V AWG#32~#26
SH 1.0mm 1A 50V AWG#32~#28

VH (3.96mmピッチ)

すごく大きい。電源など大電流が流れる箇所に使う。ピッチが広く足が太いためユニバーサル基板では使いにくいが、基板の穴を広げたり足を曲げたりして無理矢理挿し込んだりする。ケーブルを挿抜しやすくカチっとささる。すごく信頼感がある。

f:id:licheng:20191107204249j:plain

NH (2.5mmピッチ)

2.54mmピッチのユニバーサル基板に挿せる。(正確にはピッチが異なるが8ピンくらいまでならふつうに挿せる。)これは後述するXH、EHも同様である。昔はよく使ったが、今となってはかなり大型で邪魔になるのであまり使わない。挿抜はしやすい。

他のコネクタと異なり、お腹側(コンタクトが見える側)から見て右が1番ピンなのが紛らわしい。

f:id:licheng:20191107204534j:plain

XH (2.5mmピッチ)

小ピン数なら2.54mmピッチのユニバーサル基板に挿せる。たぶん2.5mmピッチのコネクタの中ではいちばんよく使われている。個人的には次に挙げるEHのほうが小さくて好みなのであまり使わない。特に厚み方向がかさばる。

f:id:licheng:20191107204554j:plain

EH (2.5mmピッチ)

小ピン数なら2.54mmピッチのユニバーサル基板に挿せる。2.5mmピッチでありながらかなり小型なので個人的には好みだが、やや抜きにくいのが欠点。XHやPHと比べてハウジングを掴みにくいので、ケーブルにテンションをかけずに抜くことが難しい。

他のコネクタと異なり、サイド型ポストに挿したときにお腹側が上向きになるのでピン番号に注意。

f:id:licheng:20191107204635j:plain

PH (2mmピッチ)

手ごろなサイズなのでいちばん汎用的によく使う。そこそこ小型で、かつエンジニアのPA-09とかの汎用工具でも圧着が難しくない。JSTの純正工具は数万円する。2mmピッチなので2.54mmピッチのユニバーサル基板では使えない。

f:id:licheng:20191107204653j:plain

ZH (1.5mmピッチ)

このあたりのピッチから汎用工具での圧着が難しくなる。とはいえ、JSTの純正工具は何万円もする。RSコンポーネンツで圧着ずみのワイヤーが売られている。近藤科学のサーボに採用されているが、ZHの定格電流は1Aなので明らかに定格を超えている。やれやれ。

f:id:licheng:20191107204710j:plain

SH (1mmピッチ)

基板を小型化したいときはこれを使う。汎用工具での圧着は困難。できたとしても信頼性に難あり。JSTの純正工具は十何万円もする。RSコンポーネンツで圧着ずみのワイヤーが売られている。ただしなぜか赤色のワイヤーしかない。圧着ずみワイヤーは高価なのでついピンセットで抜いて再利用しがちだが、著しく信頼性が落ちるのでやめて。ベース(ポスト)は表面実装タイプのみである。

f:id:licheng:20191107204759j:plain