納豆 その2

昨日の日記に書いた、『もやしもん』で言及されてる納豆嫌いな江戸時代の学者というのは、どうやら貝原益軒のことではないかと思われます。高校の日本史の資料集にも載ってる有名な朱子学者です。


貝原益軒の著書『大和本草』に納豆を批判する文章がありました。
原文はコチラ↓でPDF(画像データ)が入手できます。
http://www.lib.nakamura-u.ac.jp/kaibara/yama/index.htm

「俗ニ納豆ト云物アリ大豆ヲ煮熱シ包テカヒ出クサリテ子ハリ出来イトヲヒク世人コレヲタヽキ為羹多食之敗変ノ物性悪シ気ヲフサキ脾胃ヲ妨ク不可食凡如此陳腐ノ物不可食」

■現代語訳 by 李徴
俗に納豆というものがある。大豆を煮て、包んですくい出し、腐って粘りができて糸を引くものである。世間の人は、これをたたき、汁物にして、たくさんこれを食べる。腐敗して変質したものであり、悪い性質のものである。気分が悪くなり、消化器官の働きをさまたげる。食べちゃダメだ! だいたいこのような古くなって腐ったものは食べちゃダメだ!



短い記述のなかで「不可食(食べちゃダメだ)」という言葉を2回も繰り返しているところから、そうとう納豆を毛嫌いしていることがうかがえます。


貝原益軒という人は、空理空論の多い朱子学者にしては珍しく実証主義的・実用主義的な学者と言われますが、その彼をしても納豆に対する偏見はぬぐえなかったようです。食習慣というものは理性を凌駕するものなのかも。