昨日の日記に関して、すずさんから
『不定冠詞複数を付けて「Des Chinois ?」が正しいでしょう。』
とのご指摘をいただきました。
冠詞は日本語に無いものなので難しいです。長らく学ばされ、使わざるをえない英語ですら、定冠詞、不定冠詞、無冠詞の使い分けに迷います。
近ごろ思うのですが、ヨーロッパの諸言語における名詞と冠詞というのは、オブジェクト指向風にいうならクラスとインスタンスを表すものではないでしょうか?
たとえば名詞の「dog」は、犬というクラス(概念)を表すものです。この世にいる全ての犬、過去にいた全ての犬、未来に生まれるであろう全ての犬は、すべて dogクラスのインスタンス(個物)です。不定冠詞「a」が名詞「dog」をともなって「a dog」となると、dogクラスのインスタンスとして或る一匹の犬が話題に登場します。定冠詞+名詞「the dog」は、すでに話題に登場した特定の一匹の犬(あるいは文脈上特定できる一匹の犬)を示します。つまり
と考えることができます。
ただし、これで全て説明がつくわけではないですね。
- 不可算名詞の場合、インスタンスであっても冠詞はつかない。
- 英語やドイツ語やイタリア語などの場合、不定冠詞は単数しかないので、新規の複数のインスタンスに不定冠詞をつけることができない。(フランス語やスペイン語には不定冠詞複数がある。)
- 言語によって微妙に冠詞の扱いは違う。
- 冠詞つきの名詞が全称命題の主語になりうる。(例:「A beaver builds a dam.」)
最後のケースについて補足。「A beaver builds a dam.」(ビーバーはダムを作る。)は、ビーバーというクラス一般についての叙述なので、新規のインスタンスを表すはずの不定冠詞が主語に来るのはおかしい気がします。「A beaver」がbeaverクラスの新規のインスタンスだとしたら、「たまたま見つけた一匹のビーバーはダムを作る。」という意味になるはずですが、実際には「ビーバーはダムを作る。」という全称命題を意味します。ものの本には、この問題についてはいちおう説明がありますが、いまいち納得できません。
【追記】
同じことを考えた方がすでにいらっしゃるようで。↓
http://diary.hykw.tv/index.php/2007/03/26/yyiyyeytheaeniiiieeiea/