GR-SAKURAのローカルビルド環境

GR-SAKURAは、Web上のクラウド環境で開発できるのが特長の一つですが、やはりローカル環境でもビルドしたいというがの人情(?)です。たしかにクラウド環境での開発は、開発環境の導入が不要というお手軽さがあって初心者に最初の敷居を下げる効果は大きいですし、開発マシンに依らずどこででも続きが出来るのも魅力ですが、がっつりコーディングするのにブラウザ上のエディタは非力ですし、しばらくほっとくとセッションの時間切れで再ログインを迫られますし、ビルドのたびにバイナリをダウンロードするのは手間ですし、そもそもルネサスのサーバが落ちたらオシマイなわけで、大事なプロジェクトが手元にないのは不安です。そこでローカルビルド環境を構築します。


プロジェクトのmakefileを読めば分かるとおり、GR-SAKURAのビルドはRXマイコンGCC(rx-elf-gcc)を使っています。なので、自力でGCCクロスビルド環境をビルドする根性があればWindows(Cygwin)上にもLinux上にもMac上にも環境の構築はできるはず。できるはずですが... 自分はヘタレなのであんまりやりたくないですね。どうせ ./configure --prefix=/usr/bin/gcc-rx-elf --target=rx-elf とかするんでしょ? それでmakeして楽しみに何時間も待ってたら途中でエラーで中断してて(´・ω・`)ショボーンとなるんでしょ? エラーメッセージ見てもMakefileとか見ても正攻法はよく分からなくて、いろいろ小細工してなんとかビルド通すんでしょ? 仕事ならともかく趣味でそういう作業にあまり手間かけたくないので、おとなしく先人の成果を使わせてもらうことにします。


RX用GCCを探してみると、KPITさんのと、特殊電子回路(株)さんのが見つかりました。今回は特殊電子回路(株)さんのを利用することにします。


特殊電子回路(株)さんのRX用GCCはRXduinoのためにビルドされたものです。RXduinoとは、GR-SAKURAにも採用されているあのArduinoライクなライブラリです。特殊電子回路(株)さんのRaXinoというボードはGR-SAKURAにそっくりで、さしずめGR-SAKURAのお兄さんといったところでしょうか。環境の導入については下記URLに解説してくださってます。
http://rx.tokudenkairo.co.jp/index.html
http://rx.tokudenkairo.co.jp/getting-started/index.html
http://rx.tokudenkairo.co.jp/getting-started/cygwin-rx-gcc.html


...要するに、特殊電子回路(株)さんの製品を購入したユーザーであれば、GCC(Windows版,Linux版,Mac版)やRXduinoライブラリを上記URLからダウンロードできるのですが、買ってないならWindows版のGCCのみダウンロードできるようです。(なひたふJTAG日記によると、「今はパスワードとかかけていないので、誰でもダウンロードできます。」とのこと。多謝。)


以下、導入手順の要点のみメモします。

  1. WindowsCygwinの導入します。パッケージ選択では必ずDevelをInstallにします。まあ、開発用に使うなら当然ですけど。毎度すごい時間かかるので気長に待ちます。
  2. CygwinにPATHを通します。自分の場合は"D:\cygwin\bin"でした。
  3. rx-elf-gccの樽(tkdn-20110720-gcc.tar.bz2)をダウンロードして、tar jxvf して、できた tkdn-20110720 を /usr/local/ に mv します。
  4. export PATH=/usr/local/tkdn-20110720/rx-elf/bin/:$PATH します。毎度打つのは面倒なので、ホームディレクトリの.bashrcに追記しておきます。



以上、クロスビルド環境ができました。で、クラウド環境(Renesas Web Compiler)から既存のプロジェクトをローカルにダウンロードするわけですが、どういうわけかフォルダを右クリックしてもダウンロードはできず、ファイルを一個一個右クリックしてダウンロードしないといけません。(簡単にエクスポートする術は無いんかな?) ファイルをすべてディレクトリ構成そのままにダウンロードしたら、プロジェクトディレクトリをCygwinのホームディレクトリにでも置きます。ライセンスの規約上、ここにそれをうpすることはできません。


GR-SAKURAのライブラリは、再配布禁止です。リンクされた実行ファイルの配布はOK。ライセンス感染はありません。あと、GR-SAKURA以外のハードで使っちゃダメです。詳しくは下記URLを参照してください。
http://rx.tokudenkairo.co.jp/license.html


さて、それではプロジェクトディレクトリにcdして、makeします。すると、めでたくsketch.binができました!GR-SAKURAに送るとちゃんと動きました。 ローカルビルド環境の構築に成功です。
ばんざーい ヽ(。>▽<。)ノ


ちなみに参考までにブックマーク。
・RXduinoマニュアル
 http://rx.tokudenkairo.co.jp/manual/
・HEWを使用したローカルデバッグ環境(USBファーム付き)
 http://www.renesasrulz.com/docs/DOC-2302
・Build cross-gcc for Renesas RX
 http://bravo-fpga.blogspot.jp/2011/08/build-cross-gcc-for-renesas-rx.html




追記
Webコンパイラの仕様が変わってしまい、Makefileをダウンロードできなくなったようです。
こちらMakefileの例をアップしておきます。