瀬をはやみ その2

「瀬をはやみ」というと、昨日の日記でとりあげた崇徳院の歌、

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ

が有名ですが、「瀬をはやみ」はなにも崇徳院の専売特許じゃありません。古くは万葉集にもいくつか詠われています。その一つが下の歌。こないだ飛鳥に行ったとき、この歌の歌碑を見つけました。

佐桧乃熊 桧隈川之 瀬乎早 君之手取者 将縁言毛
(さ桧の隈 桧隈川の 瀬をはやみ 君が手取らば 言寄せむかも)
【訳】桧隈川の流れがはやいけど あなたの手を取って渡ったら ふたりのことが噂になっちゃうかも

桧隈川は今も飛鳥を流れる、浅瀬を歩いて渡れるような小川。
彼女 (作者未詳ですが女性の歌ですよね) はそんな小川を渡ろうとしています。
彼に手を取ってもらって渡りたい。
「流れが速いわ」と彼女はおそるおそる手をのばします。
彼はそんな彼女の手を取って川を渡ります。
彼女は彼の腕に抱きつき、「誰かに見られたら噂になっちゃうかも(*^^*)


萌え萌え〜。
シチュエーション萌えな歌です。(かなり僕の妄想が加味されてますが。)
万葉集はいいですね。素朴な気持ちの歌が多くて。