態について



漢文の態について。
「狡兎死して走狗烹らる」という言葉は、まあご存知かと思います。
機動警察パトレイバー』の史記』の有名な言葉ですね。
白文だと「狡兎死走狗烹」なのですが、なんかこれ、おかしいですね。
「狡兎死」は「狡兎が死ぬ」という能動態の文ですが、
「走狗烹」は「走狗が烹られる」という受動態の文です。
日本語の訓読では受動態の助動詞「らる」を補ってますが、
白文には受動態を示す形態素がまったく見当たりません。
漢文にはこういう舌足らずな文がよくあります。
こんな言葉でよくコミュニケーションが成り立ったものだと不思議に思います。


さらにいうなら語法だけでなく発音も手短すぎ。
日本語の一般的な訓読では「こうとしして、そうくにらる。」で10音節、12拍です。
もっと分かりやすく訓読するなら「ずるいうさぎがしんだら、はしるいぬはにられる。」で21音節、21拍になります。
ところが漢文では「Jiaotu si, zougou peng.」で、たった6音節、6拍です。
漢字を読めば理解できますが、こんなの耳で聴いてもわからないですよ!