国宝法隆寺金堂展



今日は奈良に行ってきました。
国宝法隆寺金堂展@奈良国立博物館
僕は法隆寺の近くに住んでますが、金堂の仏様はいつも金網の向こうの暗闇の中におられて、間近にお目にかかることができません。今回こうして衆生の前にお出ましになるのは稀有なことです。ただ、国宝法隆寺金堂展と銘打つからには釈迦三尊にもお越しいただきたかったですがね。
今回お出ましになられたのは四天王と阿弥陀三尊。そして再現金堂壁画の諸仏。


四天王というと、東大寺とかにおられるマッチョで荒々しい戦闘神のイメージが一般的ですが、法隆寺金堂の四天王は端正で静謐なお姿をしておられます。造形的にはやや硬さの残る古拙の風あり。お顔立ちは釈迦三尊や救世観音と通ずるものがあります。いわゆる北魏様式というやつですね。


阿弥陀三尊のほうは、オリジナルが失われたため鎌倉時代に造りなおされたものだそうです。左右対称の幾何学的な衣文などは、飛鳥時代北魏様式を忠実に模していますが、阿弥陀仏の写実的で硬さの抜けた体躯やお顔立ちはやはり鎌倉時代のものだなぁと感じました。


金堂壁画は、なんというかエキゾチックですねえ。後世の日本の仏画とはまったく違う種類の美です。これほどのものが失われてしまったことがつくづく悔やまれます。幾多の戦乱の時代をくぐり抜けてきた千古の美も、たった一度の火災で永遠に失われてしまう。御仏ならばそれを諸行無常というのでしょうが、我ら凡夫には耐え難いことです。