薬山和尚言わく、
あるときは顔が3つで腕が8本の鬼神、
あるときは身長5メートルのブッダ、
あるときは杖とハタキを持った和尚、
あるときは張家の三男、李家の四男、
あるときは花形レーサー、
あるときはスチュワーデス、
あるときは白衣の天使、
しかしてその実体は……
時間すなわちこれ存在なり。
仏法を知らぬ凡人は言う、
前世では顔が3つで腕が8本の鬼神だった。
前世では身長5メートルのブッダだった。
前世では白衣の天使だった。
しかしそうではない。過ごしてきた時は消え去ったのではない。
はるかかなたには 今まさに顔が3つで腕が8本の鬼神がいる。
はるかかなたには 今まさに身長5メートルのブッダがいる。
はるかかなたには 今まさに白衣の天使がいる。
♪ 君は信じるかい? それとも笑うかい?
(道元『正法眼蔵』「有時」の巻より)