子馬を村人ひどく殴る

 スペイン、ポルトガルというと、ヨーロッパ南西部のイベリア半島の国であるが、同じヨーロッパ人にとっても、スペイン、ポルトガルは異国情緒あふれる国のようだ。水ぬるむ陽気な南国ということもあろうが、それならイタリアだってそうだ。スペイン、ポルトガルの異国情緒というのは、ひとつにはかつてイスラム支配下にあったことに由来するのではないかと思う。
 中世、イベリア半島イスラムの勢力下にあった。実際、地理的にも、険しいピレネー山脈を隔てたフランスよりも、むしろジブラルタル海峡の対岸のモロッコの方が近い感じがする。モロッコをはじめ北アフリカの国々はいまもイスラム圏である。
 イベリア半島は古代にはローマ帝国の領土であったが、帝国崩壊、ゲルマン大移動により西ゴートの支配下になった後、8世紀にイスラムに征服された。イスラム帝国の分裂後も、後ウマイヤ朝ムラービト朝ムワッヒド朝ナスル朝イスラム王朝が交代してイベリア半島に勢力をおいた。
イベリア半島イスラム王朝の覚え方 (高校の世界史で習った)
「子馬を村人ひどく殴る」
後ウマイヤ朝 (756-1031)
ムラービト朝 (1056〜1147)
ムワッヒド朝 (1130〜1269)
ナスル朝 (1230〜1492)
キリスト教圏では巻き返しを図ってレコンキスタをはじめた。レコンキスタとは「国土回復運動」などと訳されるが、英語的にいえばリ・コンクエストつまり「再征服」の意味である。1492年、グラナダ陥落によってレコンキスタは完了。イスラムはイベリアから追い出された。いまはスペイン、ポルトガルはキリスト(カトリック)教圏だが、美麗なアルハンブラ宮殿など、イスラム文化の跡が残っている。
 一度行ってみたい国である。