例外の例外



英語では所有形容詞(学校英文法でいう人称代名詞所有格)が名詞に付くとき、冠詞は付きません。"the book"とか"my book"とはいうけど、"the my book"とはいいませんよね。これは、所有形容詞と冠詞がともに限定詞なので、二重には付かないと理解できます。ドイツ語でもフランス語でもそうですよね。


ところが。イタリア語では所有形容詞が冠詞をともなうのです。たとえば、"il mio libro"というふうにいいます。"il"は単数男性の定冠詞、"mio"は所有者が一人称単数で所有物が単数男性の所有形容詞(←ややこしい!)、"libro"は「本」を意味する名詞です。英語に逐語訳すると"the my book"になってしましますね。


ただし、これには例外があって、親族を表す名詞の場合は、冠詞が付きません。たとえば、「僕の妹」は"mia sorella"で、定冠詞"la"は付きません。ただしただし、これには例外の例外があって、以下の場合は冠詞が付きます。

  • 名詞が複数形の場合:le mie sorelle 「僕の妹たち」
  • 他の形容詞を伴う場合:la mia bella sorella 「僕の美しい妹」
  • 愛称語など変意語の場合:la mia sorellina 「僕の妹たん」
  • 三人称複数の所有形容詞"loro"の場合:la loro sorella 「彼らの妹」

…どこまであまのじゃくなんだ、イタリア語め。




おっと、ポルトガル語でも所有形容詞が冠詞をともなうようですね。スペイン語だと、所有形容詞が前置形のときは冠詞が付かず、後置形のときは冠詞が付くようですね。フランス語、スペイン語ポルトガル語、イタリア語は同じイタリック語派でよく似た言語だけれど、細かい所がいろいろ違うようですね。