中国語の文法

中国語の文法は英語に似ているという人がよくいるが、僕にはそうは思えない。たしかに一見するとどちらもSVOが語順の基本になっている。日本語にはそういう語順のしばりはなく、しいていうならSOVの語順が自然だ。


(英) I love you.
(中) 我愛你。
(日) (私は)(あなたを)愛してます。 (主格や目的格は略されることが多い)
しかしYes/No疑問文の作り方は日本語によく似ていて、英語のように語順が変わるわけでなく、日本語の「か?」にあたる「嗎?」を文末におくだけだ。

(英) Do you love me?
(中) 你愛我
(日) (あなたは)(私を)愛してます?。
疑問詞疑問文でも、英語のように語順は変わらず、日本語同様、目的語が疑問詞にかわるだけだ。

(英) Who do you love?
(中) 你愛
(日) (あなたは)誰を愛してますか?。
だいいち、英語の文には必ず動詞が存在する。名詞文や形容詞文であってもbe動詞が必要である。いっぽう、日本語では形容詞はそれだけで述語となるし、名詞は助動詞「だ」を伴って述語となる。中国語でも形容詞はそれだけで述語となるし、名詞は「是」を伴って述語となる。「是」はbe動詞に似ていなくもないが、be動詞とちがって形容詞文には用いられないし、存在文にも用いられない。

(英) I am happy. I am an American. I am in America.
(中) 我高興。 我中国人。 我中国。
(日) 私はうれしい。 私は日本人。 私は日本にいる
ところで、「私は29歳だ。」は「我二十九歳了。」だけれども、これはどういう構文なのだろう。二十九歳は形容詞とは考えにくいし、名詞だとしたら「是」がないのがヘンだ。そして「了」。これは完了の動態助詞(アスペクト助詞)「了」ではなく、事態の発生を表す語気助詞の「了」である。「了」は日本語の「た」や「だ」と似た働きをしているように思う。