ニンとジン



ご存知のように、日本語では2種類以上の音読みを持つ漢字が多くあります。
漢字の音読みは主に呉音と漢音に分類されます。古墳時代飛鳥時代前期に中国の六朝から朝鮮を経由して日本に伝わった漢字の発音が呉音。飛鳥時代後期〜奈良時代に中国の隋・唐から日本に伝わった漢字の発音が漢音です。
このように、呉音と漢音の違いは歴史的な事情によるものであり、意味の違いがあるわけではありません。たとえば、「人」という漢字は、呉音が「ニン」、漢音が「ジン」ですが、どちらの読みでも意味に違いはありません。


ところが、ふと気づいたのですが、「人」という漢字に限っては、「ニン」と「ジン」に使い分けがあるように思われます。

(1)「ニン」と読む熟語
 発起人、弁護人、請負人、水先案内人、受取人、代理人、仕事人
(2)「ジン」と読む熟語
日本人、社会人、一般人、異邦人、軍人、同時代人、自由人、偉人、新人

おわかりでしょうか? (1)は、動詞+「人」で、「〜する人」。(2)は、名詞/形容詞+「人」で、「〜の人」/「〜な人」です。
もちろん反例もあります。「悪人(アクニン)」、「歌人(カジン)」など昔からある2字熟語にはこの法則に従わないものも多いです。ただ近代になってから造られた言葉はたいていこの法則に従うように思います。
なんでだろ? そもそもこれらの言葉を造った人たちはこの法則を自覚してたんでしょうか?