〜する/〜じる

ふと疑問に思ったことを考察。


音読みの漢字一文字を動詞にする場合、「〜する」になる場合と、「〜じる」/「〜ずる」になる場合とがある。基本はサ変動詞「〜する」であり、それが濁ったのが「〜ずる」。さらに「〜ずる」が上一段動詞に変化したのが「〜じる」であろう。「〜ずる」と「〜じる」はどちらも用いられるが、現代語では「〜じる」のほうが一般的である。


ではどのような場合に「〜する」になり、どのような場合に「〜じる」になるのであろうか? 一般によく用いられる漢字一文字動詞を辞書からリストアップし、漢字の発音に着目して分析してみると以下のようになった。


(1) 短母音型 ○する
化する、科する、課する、賀する、帰する、期する、擬する、御する、伍する、座する、資する、辞する、持する、謝する、処する、叙する、堕する、賭する、比する、秘する、付する、模する、利する、和する


(2) 二重母音型 ○イする
愛する、介する、会する、解する、害する、際する、対する、題する、排する、配する、廃する、類する


(3) T音型 ○ッする
圧する、逸する、渇する、喫する、屈する、決する、察する、失する、接する、絶する、達する、脱する、徹する、熱する、発する、罰する、没する、滅する、律する、列する


(4) K音型 ○キする/○クする
益する、臆する、画する、激する、策する、祝する、熟する、食する、即する、属する、託する、適する、得する、博する、服する、黙する、訳する、浴する、略する


(5.a) N音型a ○ンする
冠する、関する、産する、反する、扮する、面する


(5.b) N音型b ○ンじる
案じる、演じる、感じる、禁じる、吟じる、減じる、散じる、参じる、準じる、殉じる、信じる、煎じる、損じる、嘆じる、断じる、転じる、任じる、念じる、変じる、免じる、論じる


(6.a) 長母音型a ○ーする
遇する、抗する、号する、称する、賞する、制する、征する、蔵する、呈する、評する、有する、要する、擁する、弄する


(6.b) 長母音型b ○ーじる
詠じる、応じる、興じる、講じる、高じる、生じる、乗じる、長じる、通じる、投じる、動じる、封じる、奉じる、報じる、命じる


まず言えることは、短母音型、二重母音型、T音型、K音型では例外なく「〜する」になるということ。次に言えるのは、N音型では「〜じる」になることが多いということ。つまり、通常は「〜する」であるが、N音型の場合には発音のしやすさから濁音になったのであろう。


問題は長母音型である。長母音型では「〜する」と「〜じる」の例が同数程度みつかった。ここには法則性はないのか? 本来の漢語(中国語)の発音でNG音型であったものが「〜じる」になるのかとちらっと思ったが、そうともかぎらないようだ。


要検討。