薔薇の名前

久しぶりに『薔薇の名前』の映画版を観ました。


僕が中世のキリスト教史に興味を持つきっかけとなった映画です。原作の小説よりかはずいぶん簡略化されて分かりやすくはなってますが、それでもかなり難解なお話で、中学時代に最初に観たときはさっぱり理解できませんでした。それでも独特のおどろおどろしい妖しげな雰囲気に魅せられて中世キリスト教の世界に引っ張り込まれてしまいました。「異端審問」なんていう言葉や、トマス・アクィナスの名もこの映画ではじめて知りましたね。原作ファンにはあまり評判よろしくないようですが、中世ヨーロッパの病的な空気をよく描けていると思います。史実を曲げて実在の人物を殺したのはどうかと思いますが。


「寺の病」で「痔」というように(というのは俗説ですが)、洋の東西を問わず中世の僧侶の世界ではウホッが横行してたわけですが、『薔薇の名前』で最初に知ったときはかなりショックでしたね。


それにしても、やはりショーン・コネリーは渋くてかっけー。
アドソ君は終始キョドキョドしすぎ。(笑)


印象深いセリフも多いです。


「いいかアドソ、我を忘れるような信仰と狂信との差はほんのわずかなんだ。」


「自殺なんて… 修道院は神の安息所のはずです。」
「本当にそんな所があると思うのか?」


「禁欲の生活は、じつに平和だ。平穏で、静かで、…退屈だ。」


「アドソ! 信じられるか? これこそキリスト教世界で最大の図書館だ!!」


「それが分かるくらいなら、私はパリで神学を教えているよ。」 


「でかしたぞ! 古典教育が役に立ったな。」


「本や哲学においてだけ先生は真実を語られるのですか!?」


「話してください。友人として。」


「神を笑うことがもし許されれば、世界は再びカオスを迎えるだろう!」