公家と華族

公家(くげ)とは日本の朝廷に仕えた貴族のことである。昇殿(内裏の清涼殿殿上の間に登る=天皇に謁見する)を許された家柄を堂上(とうしょう)家、許されていない家柄を地下(じげ)家というが、ふつう公家といえば堂上家をさす。家格によって昇進できる官職が定まっていた。


摂家(せっけ)・・・大納言・右大臣・左大臣を経て摂政・関白になれる
 公家のトップクラスで藤原北家嫡流の5家に限られる
 近衛家九条家一条家二条家鷹司家
清華家(せいがけ)・・・近衛大将・大臣→太政大臣まで
 ・三条家西園寺家、徳大寺家、今出川家、花山院家、大炊御門家、醍醐家 (以上全て藤原北家)
 ・久我家、広幡家 (この2家のみ非藤原氏)
大臣家(だいじんけ)・・・大納言→内大臣まで
羽林家(うりんけ)・・・近衛少将・中将→参議→中納言→大納言まで
 数多いが半分くらいは藤原氏
名家(めいけ)・・・蔵人頭中納言→大納言まで
半家(はんけ)・・・たいていは参議以上にはならず
明治維新後、公家は大名藩主や維新勲功者らとともに華族となる。その爵位は公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の5段階にランク分けされた。

①公爵 摂家(5家すべて)、 三条家・西園寺家(清華家)、 岩倉家(羽林家)
    徳川将軍家、毛利家(長州藩主)、島津家(薩摩藩主)、水戸徳川家(水戸藩主)
    伊藤(博文)家、山県(有朋)家、桂(太郎)家、松方(正義)家 など
②侯爵 清華家徳川御三家、十五万石以上の大名家、琉球王家
    大久保(利通)家、西郷(隆盛)家、木戸(孝允)家、井上(馨)家など
③伯爵 公家30家ほど、大名30家ほど、勲功者40人ほど
④子爵 公家90家ほど、大名200家以上、勲功者70人ほど
⑤男爵 公家・大名の分家など100家ほど、勲功者300人以上
華族爵位は、近代国家成立後(というか廃藩置県後)に作られたものなので、封建領主の称号ではない。(もっとも旧幕時代の封建領主(大名)はたいてい子爵以上の爵位を得ているが)

封建領主とは半独立国的な領土を領有する者である。たとえば、フリューバル・グレール・ゴル・バーリ(アーヴによる人類帝国)で伯爵の爵位を持つリン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵ジントは帝国領内のハイド星系を半自治的に領有する封建領主である。ヨーロッパでいえばたとえばザクセン侯爵家は神聖ローマ帝国領内のザクセン侯国という領国を領有する領主であり、日本で言えばたとえば島津家は徳川幕府の下にあって薩摩藩という領国を領有した領主である。日本の爵位は、こういった封建領主制度の廃止(廃藩置県)後に設けられたのが特異だと思う。