タイの王様

タイ王国は昔はシャムと呼ばれていた。19世紀の欧米列強によるアジアの植民地支配の時代、アジアで完全独立を保つことが出来たのは、(半植民地化した清とその属国の朝鮮をのぞくと)、日本とシャムだけであった。シャムは英仏の勢力緩衝地帯として幸運にも侵略を受けることがなく独立を保てたのだが、その間に名君が出たことも無視できない。
映画「アンナと王様」でチョウ・ユンファが演じたシャム王ラーマ4世(モンクット王)は自由貿易の推進や仏教の改革を行った。
ラーマ4世の子のチュラロンコーン王子は、「アンナと王様」ではアンナがその家庭教師となるが、やがてシャム王ラーマ5世(チュラロンコーン王)となる。ラーマ5世の在位は1868年〜1910年で、日本の明治天皇の在位(1867年〜1912年)とほぼ同時期である。ラーマ5世明治天皇と同じように、国の近代化を進めた英君として現在でも人気が高い。ラーマ5世が進めた近代化改革はチャクリー改革とよばれ、奴隷制度の廃止、官僚機構の整備、諸侯を廃し中央集権国家を確立、、財政制度、教育制度 、軍制の近代化、道路・郵便・電信電話の整備などで、明治日本の近代化とよく似ている。
次いで王位についたラーマ6世(ワチラーウット王)の治世は1910年〜1925年で、ほぼ日本の大正時代にあたる。父ラーマ5世の築いた絶対王政のもとチャクリー改革をさらに進めたが、財政が破綻した。弟が王位を継いでラーマ7世(プラチャーティポック王)となるが、この時代に立憲革命が起こり、シャムは立憲王制となった。
王家は今も続いており、現タイ国王はラーマ9世(プミポン王)。