伊藤悠『シュトヘル』1巻を読む。いささかクセのある絵だけども、映画的な構図の取り方がじつに上手い。『皇国の守護者』でもさうだったが、この人は人間よりも馬や獣の絵のはうが上手いなぁ。
それにしても西夏とはまたマニアックな舞台を選んだものだ。文献を戦火から守るといふ話の内容的にも井上靖の『敦煌』を連想するが、李元昊の時代からチンギス・ハーンの時代となって、西夏の立場が逆転してるのは諸行無常といふべきか。
西夏文字はカッコイイですなぁ。あのころ漢字の影響を受けて周辺諸国で独自の文字がいろいろ作られたけど、日本のカナくらいしか生き残らなかったのは残念。
ツォグ族といふのは虎をトーテムとする部族といふ設定なんかな? アジアの北方遊牧民族は、トルコにしろ、モンゴルにしろ、狼をトーテムとしてますね。虎はどちらかといふと森林地帯に棲む獣なので遊牧民族にはあまり馴染みがないんじゃないかな?