不放逸

お釈迦さまの教えを一言に要約するなら、それは「不放逸」すなわち「サボるな」です。お釈迦さまが亡くなるときに最後に言い遺された言葉は「すべてのものはうつろいゆく。怠ることなく努めさい。」でした。上座部仏典の注釈家として名高いブッダゴーサ(5世紀ごろ)は、「釈尊は45年間に説いた一切の教えを『怠るなかれ』というただ一つの句に要約した」と述べています。


自分がいつか死ぬ身だということから目を背けて、日々のどうでもいいことにかまけていたら、あっというまに全てが終わってしまいます。だから本当に大事なことは何かをしっかり見極めて、それをなしとげるのです。それが仏法のいちばんの要点だと僕は考えます。


「サボる」というのは、何もせずにダラダラすることだけではないでしょう。奴隷のように目の前の仕事にあくせくして肝心の事を忘れているのもまた「サボり」です。自宅に閉じこもっているニートに何事もなしえないのは当然ですが、職場に閉じこもっている社畜もまたニートと同様に何事もなしとげられないでしょう。ある意味、社畜ニートと同じくらいの「サボり」です。「サボり」に安住しようとする者に、仏法は何の救いも与えないでしょう。