主格と主語

今週は久しぶりに毎日残業の一週間だった。物理と数学苦手なのでメカの制御に苦しむ。
特に流体なんて今まで扱ったことなかったからなぁ。 動圧? 圧力損失?


リフレッシュのため、別方面のことを考えてみる。


僕はまあ、日本語の文法については三上章の主語廃止論を支持する。
もともと中学生のころから学校文法の連用修飾語と主語の区別には納得いかなかったので。


君 「に」 送る … 連用修飾語 - 被修飾語
手紙「を」 送る … 連用修飾語 - 被修飾語
大阪「から」送る … 連用修飾語 - 被修飾語
速達「で」 送る … 連用修飾語 - 被修飾語

僕 「が」 送る … 主語 - 述語
なんで「が」だけ仲間はずれにするんだよ!
「僕が」だって連用修飾語だろ。構文的に考えて。
日本語の構文では主格も与格も対格も奪格も具格も処格も対等な地位であって、
主格だけ差別する理由がないだろ。
主格を特別視するのは、英語などの印欧語族の文法理論に囚われすぎだろ。


英語の構文では、主格は主語という文法役割を担う。
与格は間接目的語という文法役割を担う。対格は直接目的語という文法役割を担う。


中学校で習ったように、SV構文では主格が必須。SVO構文では主格と対格が必須。
SVOO構文では主格と与格と対格が必須。
最低限、その構文で必須の格(その動詞が必要とする格)を持たない文は許されない。
逆に言うとそれ以外の格は無くても文として成り立つ。

I send you a letter by express mail from Osaka.
= I send a letter to you by express mail from Osaka.

○ I send you a letter.
○ I send a letter.
× I send you. ← ハァ?
× I send to you.
× I send by express mail.
× I send from Osaka.
× Send you a letter. ← ハァ?
このように動詞と必須の格は必ずワンセットであり、文脈上自明でも省略できない。

"Where did you send the mail from?"
"I sent it from Osaka."
ところが日本語には、そういう構文上必須の格というのはない。
動詞がどうしても主格や対格を必要とするわけではない。

「君はその手紙をどこから送りましたか?」
「大阪から送りました。」
このように奪格を問う疑問文に対する答えなら奪格と動詞だけでも文になる。
主格が明示されてないからと言って、べつにぞんざいな砕けた文というわけではない。

「君はその手紙をどこから送りましたか?」
「僕はそれを大阪から送りました。」 ← くどい


 日本語には、主語なんていう文法役割はない。


というと、なんか異端チックな響きに聞こえるが、


 英語の構文では、主格は主語という文法役割を担うが、
 日本語の構文では、主格は連用修飾語という文法役割を担う。



といえば理解を得られやすいのではないかと思う。

「僕が君に大阪から速達で手紙を送る。」

僕が … 主格の連用修飾語
君に … 与格の連用修飾語
大阪から … 奪格の連用修飾語
速達で … 具格の連用修飾語
手紙を … 対格の連用修飾語
この例文で、5つの連用修飾語は対等な地位にあり、語順も入れ替え可能。
構文上はどれも明示の義務はなく、文脈上必要なもののみでも文は成り立つ。


蛇足ながら、英語と同じ印欧語族ラテン語とかは主格を省略可能だし、語順も自由だが、動詞が主格に合わせて人称変化する点で、やはり主格が主語として特別な文法役割を担っている。

cogito ergo sum.  (我)思う ゆえに (我)あり。
あ〜、でも日本語でも尊敬語/謙譲語は主格に合わせて動詞が変化するなぁ...