となりの韓国語

日本語は語族系統不明な言語であるが、いちばん近い言語を挙げるとすれば韓国語ではないだろうか。
ちょっとした実験をしてみた。エキサイト翻訳 ( http://www.excite.co.jp/world/ ) を使い、日本語の文章を、例えば、日→英 で英訳し、その訳文を 英→日 で和訳しなおしてどの程度元の文章に近い日本語に戻るかを試す。エキサイト翻訳では英語、中国語、韓国語の翻訳ができるのでこの3つの言語で実験した。実験に使った文章は綿矢りさの『インストール』の冒頭のセリフ。

(原文)
私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ。みんなと同じ教室で同じ授業受けて、毎日。だってあたしには具体的な夢はないけど野望はあるわけ。きっと有名になるんだ。テレビに出たいわけじゃないけど。

(英語)
私が毎日、およびそのようなものの皆と絶え間なく同じである、人生 それはすべて、受信されます、そして、毎日の同じくらいは同じ教室で属します。 私がコンクリートを持っていませんが、野心が、ある一定の分割であるので、夢見てください。 それは確実に有名になります。 テレビに出たがっていないので。

(中国語)
私、毎日はみんなと同様で、このようなは生活して継続することができる。みんなの同様な教室と同様なのは授業して受け入れて、毎日。しかし私の具体的な夢でないについて、野心はでもあるは沸き立つ。きっと有名になる。テレビがあると思っているべきなのではない、でも。

(韓国語)
私, 毎日皆のような, こんな生活続いていて良いのか.皆のような教室で同じ授業受けて, 毎日.何故ならば私には具体的な夢はないが野望はあること.必ず有名になる.テレビに出たいのではないが.

こうして比べてみると、韓国語の場合、驚くほど原文に近い日本語に戻っている。文意はほぼ理解できるし、だいいち語順がまったく変わっていない! 僕は残念ながら韓国語は知らないので訳文が読めないが、おそらくほとんど逐語訳なんじゃないだろうか。韓国語と日本語は文法がよく似ているらしい。

それに対して英語や中国語の場合、およそ意味不明な日本語になってしまっている。

英語がいちばんひどい。英語の文は必ず 主語+動詞 が骨組みとなるので、主格 (日本語に主語という概念はありません!) がない文だと意味不明な訳文になってしまう。前から後ろにダラダラと係っていく文章もうまく構文解析しくにい。やはり日本語と英語のように文法が全然違う言語の場合、機械翻訳では文脈で意味を判断して訳すことができないので意味不明な訳文になるようだ。...ただまあ、エキサイト翻訳の 英→日 はかなり酷いと思う。"・・・ though I do not have a concrete dream."を「私がコンクリートを持っていませんが、・・・、夢見てください。」とは訳すなんて!

中国語は英語ほど主語にうるさくない言語なのでまだマシな訳文になっている。しかし中国語はテニヲハがほとんどない、漢字の羅列のような言語なので、日本語に機械翻訳すると構文がヘンテコになってしまう。

というわけで英語、中国語、韓国語の中では韓国語がいちばん日本語に近いと思う。仏語、独語、伊語、露語、スペイン語などは英語と同類だから、世界のメジャーな言語の中でも、韓国語がいちばん日本語に近いんじゃないだろうか? (アラビア語とかヒンディー語とかインドネシア語とかはぜんぜん知らないけど。) 文法だけでなく、語彙の面で言っても同じ漢字文化圏に属する韓国語と日本語には漢字を通じて共有できるものがたくさんあるし。