ヒューマノイドはアデノシン三燐酸の夢を見るか

二足歩行ロボットや多脚ロボットを作ろうとする人なら、たぶん誰しも最初に思うことがある。モータというのは本来、連続回転運動をおこなうための機関であり、瞬発動作や角度保持にはあまり向いていない。それでも現在の所、電子的に角度制御可能な実用的なアクチュエータが他にないので、みんなDCサーボモータを使っている。



二足歩行ロボットを「ヒューマノイド」とよぶことがある。human-( 人間 ) -oid( に似たもの ) という意味。たいてい人間に似せた「外見」をしている。しかし、機械的構造は全く違う。人間は、「筋肉」という「伸縮運動」をするアクチュエータで骨格の関節を駆動しているが、ヒューマノイドは「モータ」という「回転運動」をするアクチュエータで関節を駆動している。
ヒューマノイドがモータをアクチュエータとしている限り、人間のようにとんだり、はねたり、走ったり、真空とび膝蹴りをきめたりすることは困難だ。

そこで「人工筋肉」というものが考えられるわけだけれど、なかなか実用化してこないですな。ひとくちに人工筋肉といってもいろいろで、高分子を使ったもの、電磁力を使ったもの、超音波を使ったもの、形状記憶合金を使ったもの、空気圧を使ったものとピンからキリまである。でもやっぱり「肉」というからには高分子、それも生体材料を夢見てしまう。ヒューマノイドに使うのは非現実的かもしれないけど。

Inさんがいつかロボット用に実用化してくれたら嬉しいのだけど。(というのはもちろん冗談だけど。)