鬼の遺伝子

ユダヤ人とは、遠く紀元前10世紀にパレスチナ古代イスラエル王国を建てた民族である。しかしその後他国の侵略を受けて国は滅び、ユダヤ人の大部分はヨーロッパに移住した。そして二千年以上の時が過ぎた第二次大戦後、ヨーロッパなどに住むユダヤ人が、「故地」パレスチナイスラエル国を建国し移住した。



現代のユダヤ人の容貌を見ると、ほとんど白人みたいである。それもそのはず、二千年ものあいだヨーロッパに住み、白人と交わってきた少数民族なのだから、遺伝子的にはほぼ白人に同化しているのである。ユダヤ人の民族的アイデンティティーは、遺伝子にではなく、ユダヤ教という宗教とそれに基づく強固な民族意識にある。

キリストは二千年前のユダヤ人だが、キリストの顔を復元するとこんなかんじらしい。ほとんどアラブ人みたいである。それも当然で、アラブ人とユダヤ人はもともと近親関係にある民族なのだ。旧約聖書にもアラブ人の祖とユダヤ人の祖は兄弟だったと記されている。

ところで、マンガやアニメなんかによく、「平凡な日本人の主人公が実は○○の血をひく異能力者」とかいう設定があるが、上記のユダヤ人の例をみても明らかなように、そんなことはありえない。

たとえば、室町時代に鬼と人間のあいだに子が産まれ、その時代に鬼が絶滅したとすると、500年後の現代に鬼の遺伝子は伝わりうるか?
1世代を25年とすると500年は20世代だ。まあ、昔は出生率が高かったし、村落という閉鎖的な社会では血族婚も多かっただろう。けれども20世代をへた現代で、主人公とその近親にのみ鬼の遺伝子が伝わっているということはありそうにない。
まあ、真剣に論ずるほどのことでもないけど。