ALGYAN 6th IoT基板ハンダ付けレポート

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ALGYAN 6th IoT基板とは

ALGYAN 6th IoT基板とは、ALGYAN6周年IoT祭2021『IoTは技術の総合格闘技!』講演&ノベルティ抽選会で参加者に配布されたESP32搭載のオリジナル基板です。今週末の7月3日(土)には、基板プレゼント有・ALGYAN6th IoT基板『はんだづけ勝手にもくもく会』 も開かれます。私は一足お先にハンダ付け完了したのでここにレポートします。

この基板は生基板のみの配布で、部品は別途購入して自分ではんだづけするようになっています。部品はESP32-DevKitCを利用するお手軽セットと全部自分でハンダ付けする手作りFULLセットがあります。もちろん私は手作りFULLセットを選びました。

基板についての詳細はイベントのページおよび設計者の大栄 豊さんが公開されている資料を参照してください。基板の配布はすでに終わっていますが、回路図やCADデータも公開されています。

準備

ハンダ付けするときは机をきれいに片付けて、必要な部品と工具を揃えてからにしましょう。

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工具 マイセレクト
ハンダごて FX-888D / FX-600 (こて先は標準のB型と細い1C型) ※1 ※2
ハンダ スズ60/鉛40のもの (太さ 0.8mm / 0.3mm の2種)
フラックス (めっちゃだいじ!) ホーザン H-722
ピンセット (これもだいじ!) goot TS-12 / TS-13 (この安さでこの精度!)
マスキングテープ ちかごろは100円ショップでも売ってますね
テスター DE-320P (20年以上前に秋月で買った安いやつ)
ルーペ シンワ T-2 (28mm 10倍)
実体顕微鏡 Vixen SL-30 (教育用のちっちゃいやつ) ※3
ハンダ吸取線 幅2.5mm と 幅0.7mm の2種
フラックスクリーナー サンハヤト フラックスクリーナー

※1 私はFX-888Dをメインに使ってますが、オススメはみんな大好きFX-600。
※2 こて先はC型(円柱を斜めにカットした形)派とD型(マイナスドライバー型)派が多いようです。
※3 つい最近、デジタル顕微鏡(Andonstar ADSM301)も買いました。まだ試してません。

ハンダ付け

(1) 生基板のチェック

部品実装の前に生基板に不良がないか念のため電源系だけチェックします。+M5V、+5V、+3V3、GNDのおのおのがショートしていないか、テスターで抵抗値を測って確認します。導通チェックモードより抵抗測定モードのほうがベターです。

(2) 細かいチップ部品を先に実装

チップ部品のコンデンサ、抵抗、ダイオード、LED、トランジスタなど背の低い部品を先に実装します。背の高い部品を先に実装してしまうと後の邪魔になりますし、細かい部品を後に回すと紛失する恐れがあります。また、コネクタなどの樹脂部品は熱に弱いので誤ってハンダごてで融かさないように後回しにします。

こて先は1C型、ハンダは0.3mmのものを使用しました。

チップ部品のダイオードやLEDはカソードマークが分かりにくいので、念のためテスターのダイオード測定モードで極性を確認してから実装します。

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一通り実装が終わったら、再び電源系のショートがないかチェックします。とくにチップコンデンサの実装は気を付けないと電源がショートします。

(3) 電源ICの実装

次に電源IC(三端子レギュレータ)を実装します。他のICを実装する前に電源系の動作チェックを済ませるのが私の流儀です。三端子レギュレータのタブは熱容量が大きく、細いこて先ではつけにくいので標準のこて先を使いました。

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CN1に5Vを投入して、PWRのLEDが点灯するのを確認し、+3.3Vの電圧をテスターで確認します。このときCN1に接続する5V電源の極性を絶対に間違えないように気を付けましょう。まだコネクタをハンダ付けしていませんので、スルーホール用テストワイヤーを用いると便利です。

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(4) その他の表面実装部品の実装

続いてICやチップタクトスイッチなどの表面実装部品を実装します。足の多い部品は最初の位置決めが命です。私はもう視力が衰えていますし、顕微鏡を使いました。慎重に位置を合わせてまず角のピンを仮にハンダ付けし、次に対角のピンをハンダ付けします。ズレてないこと、横から見て浮いてないことを確認できたら一安心です。あとは残りのピンをハンダ付けしていきます。ここで力を発揮するのがフラックスです。フラックスを塗らないとハンダのノリが悪かったり隣のピンとブリッジしたりします。フラックスを塗れば、たとえブリッジしても切るのが簡単になります。

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今回いちばん難しかったのはマイクロUSBコネクタです。ピッチは0.65mmでそこまで細かいわけでもありませんが、真上からだと足が先っちょしか見えないので、しっかり位置決めしてあとはフラックスの力を信じるのみです。こて先についたハンダを当てて染み込ませる感じです。

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一通り実装が終わったら、再び電源系のショートがないかチェックします。

(5) リード部品の実装

最後にコネクタやブザーなどのリード部品(穴に足を通す部品)を実装します。スペーサを逆向きに付けて裏返すと基板が安定して裏面のハンダ付けがやりやすくなります。部品は落っこちないようにマスキングテープで仮どめします。

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今回、DRV8835モータドライバモジュールが在庫僅少の貴重品(?)だったので、直接ハンダ付けせずロープロファイル(背の低い)タイプのピンヘッダソケットで接続しました。

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CN1, CN2, CN9, CN10にはJSTのEHコネクタを採用しました。個人的に好きなコネクタです。ピンヘッダは電源の逆刺しが怖いので私はあまり使いません。背中側(コンタクトが露出してない側)を外向きにしたかったのですが、回路図のピン番号に従うことにしました。これはコネクタの種類によることなのでしかたないですね。

(6) 完成

一通り部品の実装がすんだら、再び電源系のショートがないかチェックします。くどいようですが、電源ショートのチェックはこまめにおこないます。一気に全部実装してからショートが発覚した場合、どこでショートしているか切り分ける術がなく非常に厄介なことになるからです。

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動作確認

完成した基板の動作確認をおこないます。TakSan0さんが公開されているハードウェアチェックソフトを利用しました。WiFiサーバ、LED、サーボ、DCモータ、ブザーなど、ALGYAN 6th IoT基板の機能を一通りチェックできます。ありがたや。

このハードウェアチェックソフトで基板の動作確認をしている様子です。マイクロサーボSG90とDCモータFA-130×2個タミヤのツインモーターギヤボックスを接続しています。(LEDがチカチカしているように見えるのはスマホのカメラで撮影しているためです。)


今後の活用

以前作ったArduinoベースの倒立振子があるので、まずこれをALGYAN 6th IoT基板に移植してみたいと思っています。
github.com